後継者育成がもたらす『恩恵』は大きい



一般的に後継者育成の目的は事業承継にあります。事業を未来に渡って継続していくために経営者の後釜を育てていきます。しかし、私は後継者育成には隠れた目的があると考えています。

 後継者育成で「得られるもの」を以下にまとめました。


① 事業承継をスムーズに行える

後継者育成の基本は「①事業承継をスムーズに行える」にあります。私は「②経営が見直されて利益が生まれる」「③後継者の能力た育つ(部下の能力も育つ)」「④新規事業が立ち上がる」に隠れた目的があると考えています。

② 経営が見直されて利益が生まれる

前述のとおり後継者育成では、現経営者が会社の現状や過去を見直します。これを行うだけで不要な出費や交換可能な商品、簡単に改善できる点が浮き上がります。会社の規模や改善内容にもよりますが、年間で数十万円から場合によっては数百万円まで利益改善することが期待できます。

③ 後継者の能力が育つ(部下の能力も育つ)

後継者育成では、経営の基礎知識を学習します。経営者としての心構え、決算書の見方、業界分析、会社分析、戦略の立案方法、労務管理、人事管理など。これだけを学べば後継者の視座が上がります。仕事への取り組み方が変わります。その効果は部下へも波及します。部下への教育が行われればなお良いですが、上司が変われば部下も変わります。必然的に後継者もその部下も育っていくのです。

④ 新規事業が立ち上がる

後継者育成の重要課題に「小さなことから経営を実践させる(する)」というものがあります。ご承知のとおり経営は生き物です。座学だけではいつまでたっても現経営者に近づくことはできません。「一部署を後継者の責任で完全に任せる」「子会社を後継者の責任で完全に任せる」などで実践を積ませます。お勧めなのは「新規事業を立ち上げさせる」です。事業と言っても新たな部署を立ち上げる程度の規模で、失敗しても現経営者がフォローできる程度の規模が適当です。仮に失敗したら、それは後継者の貴重な財産になります。そして、成功した場合、新たな収入源を得られることになります。

✳︎ 隠れた目的

実は隠れた目的がもう一つあります。それは後継者育成をとおして、後継者が現経営者の苦労と喜びを知ることです。同じ目線に立つことで、経営の苦労を知ることになり、同時に 経営の喜びを知ることになります。特に子供が後継者候補の場合、それまで反発していたのが丸くなることもあります。真の意味で、親に尊敬の念を抱くようになります。

具体的な事例を見ていきましょう。

グラフは「事業承継後の取組と業績変化」を示したものです。(中小企業白書2014より)


事業承継後の取組を見てみると、「異業種への参入」「赤字部門からの撤退など業態見直し」「新商品開発」「新たな販路開拓・取引先拡大」などの取組を行なった企業の60%程度が事業承継後の「良くなった」「やや良くなった」と業績改善を感じています。あまり変わらないを含めると82%以上が現状以上の業績となっています。一方、取組を行わなかった企業が「良くなった」「やや良くなった」が26%程度に対し て、「やや悪くなった」「悪くなった」が34%程度であることも見逃せません。これらを勘案すると後継者による新規参入や販路拡大が会社へ与える効果は大きいと言えます。