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​人材研究

Case

ドーパミンの活用

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インハウスのデザイン業務をしている彼女たちは少数の部署のため四六時中一緒に過ごしているそうです。相談してきた責任者の方は職人気質で完璧主義なタイプ、モチベーションの下がっているスタッフの方は社会人経験が浅いこともありまだ自信が持てていないタイプでした。「タイプが真逆だからでしょうか?」という結論も考えられますが、脳科学の観点からみると問題点と改善点が見えてきました。

1. 2年目はなぜモチベーションが落ちるのか?

様々な要因が考えられますが、ここでは「ドーパミン」に視点を置きます。
私たちはドーパミンが分泌されることで快感を得ます。例えば、給料がでた、先輩から褒められた、美味しいものを食べた、イイねを貰ったなどの「楽しい・嬉しい」と感じるのはドーパミンが分泌されているから。

ドーパミンが分泌されると気持ちがいいので「もう一度経験したい」「もっと続けたい」と考えます。そうすると給料日が待ち遠しくなり仕事のモチベーションが高まります。まずこれが入社2-3ヶ月のモチベーションです。その後、給料で買い物する喜び、ボーナスの喜び、仕事ができるようになった喜び、仕事を任されるようになった喜びなど、ドーパミンが分泌されるイベントが程よい間隔で訪れます。そして、2年目が訪れます。

2年目になるとドーパミンの分泌が少なくなります。脳は同程度の報酬に慣れてしまう性質があるからです。同じ報酬でもドーパミンの分泌が少なくなります。周囲からすれば「2年目で仕事にも慣れているはずなのに、なんでパフォーマンスが伸びないの?」当人も「仕事に慣れちゃったのかな?」「なんでやる気でないんだろう?」と理由が判らないまま会社からの評価が下がり、ますますモチベーションが上がらない。これが2年目のジンクスです。

2. ドーパミンの分泌を管理する

そうすると2年目の社員は自分でモチベーションを高める方法を探します。トップの成績を目指したり、仕事仲間と情報共有したり、プライベートを充実させたりします。ここが責任者・管理者に注視していただきたいポイントです。

ドーパミンの分泌はモチベーションを高めてくれます。猿を用いた実験では、猿はトリガーを引くとバナナを得ること(=喜び)を知ると、再びドーパミンの分泌を求めてトリガーを引きます(=モチベーション)。つまり、トップの成績、仕事仲間との共有、プライベートの充実をバナナとすると、成果を出すための仕事、飲み会やプライベートがトリガーになります。しかし、飲み会やプライベートが充実しても業務に対するモチベーションは高まりません。またトップの成績をバナナとした場合一部の勝者しかモチベーションが高まらないことが問題です。

ここでドーパミンを以下のように管理してみてください。
「褒められる」は典型的なドーパミン分泌状態です。「褒められる」をバナナとして「努力すること」「達成すること」をトリガーにします。前者は新しい仕事にチャレンジした場合、後者は慣れた仕事を完遂した場合です。新しいことにチャレンジしたとき、多くの場合は失敗あるいは目標のレベルまで達しません。先輩の目線からすれば当然です。しかし、そのときに「イイね!よくやった!イイところまでたどり着いたじゃん!(=喜び)」と褒めてください。そうするとドーパミンが分泌され「努力すること(=モチベーション)」に再度取り組みたいと考えます。同様に慣れた仕事を完遂したとき「ありがとう!今回もいい仕事しているね!さすが!(=喜び)」と褒めてください。例えそれが誰にでもできることでも良いのです。「達成すること(=モチベーション)」を繰り返したい、と思ってくれるようになれば仕事がそのものが楽しくなります。

冒頭で紹介させていただいた事例では、完璧主義の責任者の方は「褒める」ことが得意ではなかったようです。「仕事の難易度を下げる」では「できない人間のレッテルを貼っている」ようなもの。まずはチャレンジしたことを褒める。それが基準を下回っていたとしても褒める。あるいは感謝でも同様です。それから問題点を指摘・改善してみてください。今はできなくても、高いモチベーションで取り組み続ければできない仕事などありません。少しだけ時間をかけて成長を促してみてください。

やる気は「ドーパミンの分泌」と密接に結びついています。ポイントは「仕事と喜びの手前を結びつけること」です。

褒める行為は、褒める側も褒められる側も喜びを感じられます。また、褒めるだけではなく「○○してくれて、ありがとう!」と感謝を伝えるだけでも十分です。上手に取り入れてみてください!