Analysis

​人材分析

行動分析学

「​好子」を強化する

行動分析学に「好子の強化」という考え方があります。簡単にいうと「褒めることで遅刻をしなくなった」のように「好子によって行動を増加(増強)させること」のことです。

不動産業務の殆どは「人と人が接すること」です。それは社内の人事だけではなく、社外の接客でも活用することができるアイディアです。

Case

好子の強化

eaa004d3bc21f3cfdbc335a6f38c0788_s.jpg

[Case]

・営業課長の後藤さん

・営業社員の吉田さん

[課題]

部下の吉田さんのモチベーションがあがらない。

今週末の案内の結果はどうなった?来週には結論をもらえるのか?

はい、前向きに検討してくださっています。来週に契約いたれそうです。報告が遅くなって申し訳ございません。

本当に成約に至れるのか?それに、そんな報告は聞いていないぞ!ちゃんと報告しろ!

1. 行動分析学の考え方

行動分析学は「性格」や「やる気」など性質ではなく「行動」に着目した学問です。「どうしたら行動を好転できるのか?=従業員の活動を好転できるのか?」ということを教えてくれる理論です

今回のケースでは吉田さんのモチベーションの低さに課題があります。「好子(こうし)」を活用することで吉田さんのモチベーションUPを試みてみましょう。

行動分析学の基本的な理論に「ある行動の直後に与える好子を強化すると、ある行動が増強する」というものがあります。今回のケースに照らし合わせると「吉田さんが成約に近づく報告をした(=ある行動)直後に上司の後藤さんが褒めると(=好子の強化)吉田さんは成約の報告を積極的に行う(=ある行動が増強する)」とことになります。

このような現象に思い当たる節があるのではないでしょうか?山本五十六が「やってみせ、言ってきかせ、やらせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」はまさに好子の強化を言語化したものです。これは人間の大人から子供まではもちろん、動物実験でも実証された現象です。生物の学習性において普遍的な性質と言えます。

2. 好子の強化とは?

上記のとおり「好子の強化」とは「ある行動の後に与えるもの」のことです。好子はどんなものでもOKです。お金でもお菓子でも笑顔でも「受取手の行動が強化される」ならば好子となります。

注意点としては、好子は定期的に与え続けると慣れによる減少がみられる点です。なのでお金は望ましくありません。今回のケースでは笑顔か褒め言葉などが望ましいでしょう。そして60秒以内に伝えないと効果が薄れてしまいます。

そして、冒頭のやりとりをみると後藤さんは褒めるべきところで褒めていなさそうです。吉田さんは来週には契約に至れる営業を行なってきました。これは好子の強化を行う絶好のチャンスでしたが、後藤さんは逆に嫌子(ケンシ)で弱化してしまっています。吉田さんが報告を怠ったのもこれまで褒めるなどの好子の強化を行なってこなかった結果でしょう。

「好子の強化=褒める」は行なったときから効果を発揮します。キャラクターから逸脱しない範囲で良いので「褒める・微笑む」などを伝えてみましょう。今回のケースだと以下のようになります。

3. 無理なく好子(=褒める)を取り入れる

今週末の案内の結果はどうなった?来週には結論をもらえるのか?

はい、前向きに検討してくださっています。来週に契約いたれそうです。報告が遅くなって申し訳ございません。

そうか。お客さんにいい提案ができたようだな。いただいた信頼を損なわないようにしっかりと契約までサポートしてくれ。来週の契約まで気を抜かずに頼むぞ!

は、はい!がんばります!

「こんなに上手くいくの?」と思うかもしれませんが、効果はテキメンです。好子は次回、そしてさらに次回には効果を発揮します。好子の強化を行う度に部下のモチベーションに変化が見られるようになります。

「突然いつもと違うことを言ったら変に思われないか?」と不安に思うかもしれません。実際、部下は「あれ?なんか変わった?」と訝しるでしょう。しかし、それが変化です。変化するには努力が伴いますが、必ず報われます。部下のモチベーション低下が気になる方はぜひ試してみてください!